はじめての外国人採用を、成功へ導く情報メディア
2026年10月4日 16:39:15
採用ノウハウ
ミャンマー人が日本に来る理由とは?日本で働く背景と採用時のポイントを解説

日本で暮らし、働くミャンマー人は年々増えています。企業の採用担当者のなかには、「なぜミャンマー人は日本で働きたいのだろう」「どのような点に注意して受け入れればよいのだろう」と疑問を持つ方もいるでしょう。
来日の背景には、収入やキャリアへの期待だけでなく、日本語学習、家族との生活、ミャンマー国内の情勢など、さまざまな事情があります。理由を一つに決めつけず、本人の希望を丁寧に確認することが、採用後のミスマッチを防ぐ第一歩です。
本記事では、ミャンマー人が日本に来る理由や来日後に感じやすいギャップ、企業が採用時に確認したいポイントを解説します。
ミャンマー人が日本に来る理由は一つではない

ミャンマー人の来日理由として、まず思い浮かぶのは就労かもしれません。しかし、実際には留学や家族との同居など、目的は人によって異なります。
日本で暮らすミャンマー人は増加している
出入国在留管理庁によると、日本に在留するミャンマー人は2025年6月末時点で16万362人です。2024年末から半年間で2万5,788人増えており、日本で暮らすミャンマー人の増加が続いています。
在留資格は特定技能や技能実習、留学、技術・人文知識・国際業務、家族滞在などさまざまです。単に人数を見るだけでなく、どのような立場で日本に滞在しているのかを確認する必要があります。
参考:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
就労・留学・家族との生活など来日の目的は異なる
日本で働くことを主な目的として来日する人もいれば、日本語学校や大学で学んだ後、日本で就職したいと考える人もいます。すでに日本で生活している配偶者や親族と暮らすために来日するケースもあります。
同じ在留資格で働く人でも、「家族へ仕送りしたい」「専門的な技術を身につけたい」「将来は母国で事業を始めたい」など、目標は同じとは限りません。
母国側の事情と日本を選ぶ理由を分けて考える
来日の背景を理解する際は、ミャンマーを離れたい事情と、行き先として日本を選んだ理由を分けて考えると整理しやすくなります。
ミャンマーでは、長引く紛争や経済の停滞などにより、仕事や生活の先行きに不安を感じる人がいます。一方、日本を選ぶ理由には、賃金水準、働ける職種、日本語学習、安全面への期待などがあります。母国の事情だけを見て、「日本ならどこでもよいのだろう」と捉えるのは適切ではありません。
なお、日本では本国情勢を踏まえ、帰国が難しい在留ミャンマー人に対する緊急避難措置も設けられています。
参考:出入国在留管理庁「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」
国籍だけで本人の動機を決めつけないことが大切
「ミャンマー人は仕送りのために来日する」「母国へ帰りたくないはずだ」といった決めつけは、本人との認識のずれを生みます。
ミャンマーは多民族国家であり、出身地域や言語、宗教、家庭環境もさまざまです。面接では国籍から人物像を推測するのではなく、本人の言葉から来日の経緯や希望を理解しましょう。
ミャンマー人が来日先として日本を選ぶ理由
海外で働く選択肢が複数あるなかで、日本を選ぶ理由にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な背景を紹介します。
ミャンマー国内より高い収入を期待できる
海外で働く選択肢が複数あるなかで、日本を選ぶ理由にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な背景を紹介します。
特定技能などを利用して働ける職種がある
特定技能では、介護、飲食料品製造業、外食業、建設など、人手不足が深刻な分野で外国人を受け入れています。一定の技能や日本語能力などの要件を満たせば、日本で働く道を選べることは大きな理由の一つです。
もっとも、特定技能であれ ばどの仕事でも担当できるわけではありません。分野ごとに認められる業務が決まっているため、企業は採用前に仕事内容との適合を確認する必要があります。
日本語を学び仕事や将来に生かしたい
日本語を身につけ、将来の仕事に生かしたいという希望もあります。日本で働きながら日常的に日本語を使えば、母国で学ぶより実践的な会話力を身につけやすくなります。
帰国後に日系企業への就職を目指す人もいれば、日本語能力試験の上位レベルや業務に関連する資格を取得し、日本でキャリアを築きたいと考える人もいます。
日本の文化・製品・サービスに関心がある
来日前から日本の映画やアニメ、音楽に触れていたことをきっかけに、日本語を学び始める人もいます。自動車や家電製品、日本式の接客などに関心を持ち、「現地で技術やサービスを学びたい」と考えるケースもあります。
ただし、文化への関心がそのまま仕事への適性を示すわけではありません。採用時には、仕事内容を理解しているかを別途確認しましょう。
治安や生活環境に安心感を持っている
公共交通機関を利用しやすいことや、生活上のルールが比較的明確であることに魅力を感じる人もいます。先に来日した人から「安心して生活しやすい」と聞き、日本を選ぶこともあるでしょう。
一方、日本にも災害や物価の高さ、言葉の壁といった生活上の課題があります。良い面だけを伝えず、現実的な生活環境を説明することが大切です。
先に来日した家族や知人から情報を得られる
すでに日本で暮らす家族や友人がいれば、仕事の探し方や生活費、交通機関の使い方などを事前に聞けます。困ったときに相談できる相手がいることも、来日への不安を和らげます。
同じ出身地の人から日本の求人を紹介され、来日を検討するケースもあります。ただし、知人から聞いた条件と実際の雇用条件が同じとは限らないため、企業からも正確な説明が必要です。
日本に来たミャンマー人が感じやすい理想と現実の違い

来日前に抱いていたイメージと実際の生活に差があると、働く意欲の低下や早期離職につながることがあります。よくあるギャップを事前に共有しておきましょう。
給与額だけでなく税金や社会保険料が差し引かれる
求人票に記載された月給を、そのまま受け取れると考えている人もいます。実際には、所得税や住民税、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などが控除されます。社宅を利用する場合は、家賃や水道光熱費が引かれることもあります。
総支給額だけを伝えるのではなく、控除後の手取り額の目安まで説明すると誤解を防げます。
家賃や食費などの生活費が想像より高い
ミャンマーの物価と比べると、日本の家賃や食費、交通費は高く感じられます。給与が高くても、生活費を差し引くと予定した金額を仕送りできないことがあります。
配属地域の家賃相場や毎月必要になる生活費を来日前に示し、現実的な収支を本人と確認しておくことが重要です。
求人票の説明と実際の仕事内容に差がある
「食品製造」「介護」といった職種名だけでは、具体的な作業内容まで想像できません。立ち仕事の時間、夜勤の有無、重量物の取扱い、利用者の身体介助などを知らずに入社すると、「聞いていた仕事と違う」と感じる原因になります。
説明には写真や動画を使い、可能であれば職場見学の機会を設けましょう。
日本語による指示や職場独自のルールに戸惑う
試験に合格できる日本語力があっても、職場の専門用語や方言、遠回しな表現まで理解できるとは限りません。「いつもどおりに」「適当にやっておいて」といった曖昧な指示にも戸惑いやすいでしょう。
明文化されていない職場独自の習慣は、日本人にとっては当たり前でも、外国人には伝わりません。言葉と行動の両方で具体的に教える必要があります。
家族と離れて暮らすことに負担を感じる
家族への仕送りを目的に働いていても、長期間離れて暮らすことは精神的な負担になります。母国の家族が病気になったときや情勢が悪化したときには、仕事に集中できなくなることもあります。
また、在留資格によっては家族を日本へ呼ぶことが難しい場合があります。企業側には、本人の様子の変化に早く気づける関係づくりが求められます。
希望する転職や長期在留が必ずできるとは限らない
外国人が働ける業務や在留期間は、在留資格によって異なります。特定技能1号は一定の条件下で転職できますが、新しい勤務先で働くための入管手続が必要です。在留期間も原則として通算5年が上限で、家族帯同は基本的に認められません。
特定技能2号や在留資格「介護」など、長期的に働ける可 能性のある制度もありますが、分野や資格要件が定められています。「希望すれば日本に残れる」と誤解させない説明が必要です。
ミャンマー人を採用する企業が確認したいポイント
ミャンマー人材の定着には、採用時の相互理解と入社後の支援が欠かせません。本人の希望と企業が提供できる環境を照らし合わせていきましょう。
日本に来る理由や将来の希望を本人に聞く
面接では、「なぜ日本を選んだのですか」だけでなく、「日本で何を身につけたいですか」「3年後はどのように働いていたいですか」と質問します。
仕送り、資格取得、帰国後の就職、日本での長期就労など、目標によって適した 配属や支援は異なります。模範解答を求めるのではなく、本人が自分の言葉で話せる雰囲気をつくりましょう。
給与・控除額・仕事内容を母国語でも説明する
基本給、手当、残業代、賞与、休日、勤務時間に加え、税金や社会保険料、社宅費などの控除も説明します。給与明細の見本を使い、手取り額の目安を示すと理解しやすくなります。
厚生労働省の指針でも、主要な労働条件や給与から控除される項目について、母国語や平易な日本語を使い、本人が理解できる方法で説明するよう求めています。
送出機関や紹介会社へ支払った費用を確認する
来日のために送出機関や仲介者へ支払った費用、借入れの有無、返済予定を本人に確認しましょう。保証金や違約金を求められていないか、説明のない費用を負担していないかも確認します。
高額な借金を抱えていると、手取り額が想定より少なかった場合に生活が立ち行かなくなるおそれがあります。領収書や契約書も確認し、不明な点があれば紹介会社などに説明を求めましょう。
本人の技能と担当させる業務を一致させる
面接時には、資格や試験結果だけでなく、これまで経験した作業を具体的に聞きます。採用後に担当させる作業が在留資格の範囲内かどうかも確認が必要です。
未経験の作業を任せる場合は、「できるはず」と考えず、研修期間や指導担当者を決めましょう。技能と業務が合っていない状態を放置すると、事故や早期離職につながります。
やさしい日本語を使って具体的に指示する
やさしい日本語とは、単に話す速度を落とすことではありません。一文を短くし、一度に一つの内容を伝え、曖昧な表現を避けることが基本です。
たとえば、「そこをきれいにしておいて」ではなく、「この床を、青いモップで、10時までに拭いてください」と伝えます。説明後は「分かりましたか」と聞くだけでなく、本人に手順を説明してもらうと理解度を確認できます。
住居や行政手続など来日直後の生活を支援する
来日直後は、住民登録、銀行口座の開設、携帯電話や電気・ガスの契約など、多くの手続が重なります。ごみ出しや交通機関の利用方法、災害時の避難場所なども説明が必要です。
特定技能1号では、住居の確保や生活オリエンテーション、行政手続への同行などが支援内容に含まれます。登録支援機関へ委託する場合も、企業が本人の生活状況を把握しておくことが大切です。
参考:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
定期面 談で仕事と生活の悩みを把握する
外国人材は、「会社に迷惑をかけたくない」「相談すると評価が下がるかもしれない」と考え、悩みを抱え込むことがあります。上司との面談だけでなく、必要に応じて母国語で相談できる機会を設けましょう。
仕事、健康、住居、人間関係、仕送りなどに分けて尋ねると、本人も話しやすくなります。特定技能の定期面談を形式的に終わらせず、問題の早期発見に活用してください。
本人が目指せるキャリアを採用時に伝える
長く働いてもらうには、目の前の仕事だけでなく、その先の選択肢を示すことが重要です。昇給の基準、任せられる業務の広がり、資格取得支援、リーダーへの登用などを説明しましょう。
「何年働いても仕事が変わらない」と感じる職場よりも、努力が評価や処遇に反映される職場のほうが、将来を描きやすくなります。ただし、実現が確約できない在留資格の変更や昇進を約束してはいけません。
特定技能外国人を採用する前に|受け入れ適性診断で準備状況を確認
ミャンマー人をはじめとする特定技能外国人に安心して働き続けてもらうには、採用後のフォローだけでなく、受け入れ前の体制づくりが重要です。
労働条件を本人が理解できる方法で説明できるか、相談しやすい窓口があるか、来日直後の生活を支援できるか。さらに、登録支援機関へ支援を委託する場合は、企業との役割分担も明確にしておかなければなりません。
こうした準備が不十分なまま採用を進めると、必要な手続や支援が漏れ、本人の不安や現場の負担が大きくなる可能性があります。認 識のずれが解消されなければ、早期離職や失踪につながるおそれもあるため、採用前の確認が欠かせません。
「特定技能人材の受け入れ適性診断」では、11項目の質問に答えることで、自社の受け入れ体制を確認できます。採用前に見直したい項目のほか、受け入れ後に起こりやすい課題や注意すべきリスクも整理できるため、初めて特定技能外国人を採用する企業にも役立ちます。
診断にかかる時間は約1分で、回答後すぐに結果を確認できます。特定技能人材の採用を本格的に進める前に、まずは自社の準備状況をチェックしてみてください。
ミャンマー人が日本に来る理由に関するよくある質問
ここでは、ミャンマー人材の採用を検討している企業から寄せられやすい質問に回答します。
ミャンマー人はなぜ日本で働きたいと考えるの?
ミャンマー国内より高い収入を得たい、日本語や専門技能を身につけたい、家族へ仕送りしたいなどの理由があります。日本の生活環境や文化への関心がきっかけになることもありますが、来日理由は人によって異なります。
来日するミャンマー人は全員が就労目的なの?
全員が就労目的とは限りません。留学や家族との同居、専門的な活動などを目的に来日する人もいます。また、留学生が卒業後に就労可能な在留資格へ変更し、日本で働き始めるケースもあります。
ミャンマー人は日本で長く働きたいと考えている?
長期就労を希望する人もいれば、一定期間働いた後に帰国したい人もいます。採用時点の希望も、家族の事情や仕事の経験によって変わる可能性があります。定期面談を通じて将来の希望を確認しましょう。
日本よりもタイなどの近隣国を選ぶ人もいる?
タイなどの近隣国を就労先として選ぶ人もいます。地理的に近く移動しやすいことや、家族・知人のネットワークがあることは大きな利点です。
日本は収入や技能習得への期待がある一方、日本語学習や渡航準備が必要で、生活費も高くなりやすい国です。本人は複数の国を比較して渡航先を決めていると考えたほうがよいでしょう。
採用面接では来日の理由をどのように質問すればよい?
「なぜ日本に来たいのですか」という質問だけでは、用意した回答で終わってしまいがちです。次のように質問を分けると、本人の考えを確認しやすくなります。
日本以外の国も検討しましたか
日本でどのような仕事をしたいですか
身につけたい技能や資格はありますか
家族は来日についてどのように考えていますか
将来は日本とミャンマーのどちらで働きたいですか
回答の内容だけでなく、自社の仕事内容や待遇が本人の希望と合っているかを見極めることが重要です。
日本に来る理由を理解してミャンマー人材の定着につなげよう
ミャンマー人が日本に来る理由は、収入、家族への仕送り、日本語や技能の習得、生活環境への期待など、一つではありません。ミャンマー国内の情勢が来日を考えるきっかけになることはあっても、それだけで本人の目的や将来像を説明することはできません。
企業に求められるのは、国籍から動機を推測することではなく、本人と直接話し、希望と不安を把握することです。そのうえで、給与の手取り額、具体的な 仕事内容、生活費、在留資格上の制約、将来のキャリアを採用前に共有しましょう。
来日前の期待と入社後の現実との差を小さくできれば、ミャンマー人材は安心して働きやすくなります。採用をゴールとせず、仕事と生活の両面を継続的に支えることが、長期的な定着につながります。
