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2026年8月11日 2:00:57

制度・基礎知識

ビルクリーニングの特定技能とは?対象業務・受入条件とミャンマー人採用のポイント

ビルクリーニング業界では、人手不足の解消に向けて外国人材の採用が広がっています。その選択肢の一つが、在留資格「特定技能」を持つ外国人の受け入れです。


ただし、特定技能外国人であれば、どのような清掃業務でも任せられるわけではありません。受入企業にも、都道府県知事による事業登録や協議会への加入など、ビルクリーニング分野ならではの条件が設けられています。


本記事では、ビルクリーニングの特定技能で任せられる業務、外国人本人と受入企業に求められる要件を解説します。ミャンマー人材の採用や定着を成功させるポイントも紹介するので、採用を検討している企業は参考にしてください。


ビルクリーニング分野の特定技能とは


特定技能は、国内だけでは人材を確保することが難しい産業分野において、一定の知識や技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。ビルクリーニングは、2019年4月の制度開始当初から対象分野に含まれています。


ビルクリーニング分野では、特定技能1号と特定技能2号の両方で外国人を受け入れられます。それぞれの主な違いは次の通りです。


項目

特定技能1号

特定技能2号

求められる技能

相当程度の知識・経験

熟練した技能

主な役割

建築物内部の清掃

清掃に加え、現場管理や作業計画など

在留期間

原則として通算5年まで

更新回数に制限なし

家族帯同

原則不可

要件を満たせば配偶者・子の帯同が可能

支援計画

必要

不要


特定技能1号は、洗剤や清掃用具を適切に選び、一定の清掃作業を自分で判断して行える人材を対象としています。単純な作業要員として雇用する制度ではない点に注意が必要です。


特定技能1号外国人を雇用する企業には、住居の確保や生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供、相談対応などの支援も求められます。自社で支援体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関へ委託できます。


ビルクリーニングの特定技能で任せられる業務


ビルクリーニング分野の特定技能外国人に任せられる主な業務は、多数の利用者が利用する建築物の内部を清掃する仕事です。


具体的には、次のような業務が該当します。


  • オフィスや商業施設の床・壁・天井の清掃

  • 玄関、通路、階段、エレベーターホールの清掃

  • トイレ、洗面所、給湯室などの清掃

  • カーペットや窓ガラスの清掃

  • 病院、学校、ホテルなどの建築物内部の清掃

  • ホテル客室の床、浴室、トイレ、洗面台の清掃

  • 客室清掃の一環として行うアメニティの補充やベッドメイク


対象となる建築物の規模に一律の基準はありません。病院など、建築物衛生法上の「特定建築物」に該当しない用途の建物や、延べ床面積3,000㎡未満の建物でも、多数の人が利用する建築物であれば対象になり得ます。


また、建築物内部の清掃に従事する日本人が通常行う関連業務であれば、付随的に任せることも可能です。資機材倉庫の整理、清掃用具の運搬、建物と一体になったアプローチ部分の清掃などが例として挙げられます。


ただし、勤務時間のすべてを関連業務に充てることはできません。雇用契約やシフトを作成するときは、建築物内部の清掃が中心になっているか確認しましょう。


対象外となる清掃業務に注意する


ビルクリーニングの特定技能では、住宅内部のハウスクリーニングは主な業務の対象外です。共同住宅のエントランスや廊下などの共用部分は対象になりますが、各住戸の専有部分や退去後の部屋だけを清掃させることはできません。住宅を使用する民泊の清掃も、主な業務としては認められていません。


また、次のようなビルメンテナンス業務も対象外です。


  • 空気環境の測定・管理

  • 給排水設備の管理や水質検査

  • 害虫・害獣の防除

  • 産業廃棄物の処理

  • 設備機器の運転・保守

  • 警備業務

  • 機器や設備の内部清掃


外壁や屋上の清掃は関連業務として認められる場合がありますが、高所で行う窓ガラス・外壁清掃は対象に含まれません。


厚生労働省は2026年7月に、住宅、民泊、共同住宅、ホテルなどの取扱いを示した「従事できる業務」の質疑応答集を公表しています。判断に迷う業務がある場合は、雇用前に最新の職務記述書や質疑応答集を確認しましょう。


ビルクリーニング特定技能1号になるための要件


外国人がビルクリーニング分野の特定技能1号を取得するには、原則として技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。学歴やビルクリーニング会社での職歴は必須条件ではありません。


試験合格は在留資格を取得するための条件の一つです。試験に合格しても、雇用契約や受入企業、本人の在留状況などに問題があれば、在留資格が許可されないことがあります。


ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験


技能水準は「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」で確認されます。試験は学科試験と実技試験で構成され、いずれもパソコンを使ったCBT方式で実施されています。


全国ビルメンテナンス協会の試験案内によると、試験内容は次の通りです。


試験

問題数・時間

合格基準

学科試験

20問・20分

満点の60%以上

実技試験

30問・30分

満点の60%以上


実技試験も実際に清掃機器を操作する形式ではなく、パソコン上で真偽問題、選択問題、並べ替え問題などに回答します。問題は日本語で出題されますが、漢字にはふりがなが付けられます。


試験では、清掃用具や機械の使い方だけでなく、洗剤の選択、作業手順、安全衛生、建材や汚れに応じた清掃方法などが問われます。試験実施機関が公開しているサンプル問題や学習テキストを活用するとよいでしょう。


日本語能力試験


日本語能力については、次のいずれかに合格する必要があります。


  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当以上

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上


JLPTのN4は、基本的な語彙や漢字で書かれた身近な文章を読み、ゆっくり話される日常会話をおおむね理解できる水準です。JFT-Basicでは、日本で生活するうえで必要となる基礎的なコミュニケーション能力が測定されます。


ただし、合格基準はあくまで入国・在留に必要な最低水準です。清掃現場では、洗剤の希釈率、安全上の注意、作業変更、顧客からの要望などを正確に理解しなければなりません。採用面接では、試験結果だけでなく、現場を想定した会話ができるかも確認しましょう。


技能実習2号修了者は試験が免除される場合がある


ビルクリーニング職種の技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。


一方、ビルクリーニング以外の職種で技能実習2号を良好に修了した場合、免除されるのは日本語試験だけです。ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験には合格しなければなりません。


「良好に修了した」と認められるには、技能検定3級や技能実習評価試験への合格など、修了状況を証明する資料が必要です。採用候補者が元技能実習生の場合は、職種、作業名、試験の合否、評価調書の有無を早めに確認してください。


ミャンマー国内でも技能試験を受験できる


ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験は、日本だけでなくミャンマー国内でも受験できます。現在はピアソンVUEのテストセンターで実施され、会場の営業日と空き状況に応じて日時を選択できるCBT方式です。


ミャンマー語の受験案内や学習テキストも公開されています。ただし、試験問題自体は日本語で出題されるため、清掃の専門用語と日本語を結び付けて学習しておくことが重要です。


ミャンマーから新たに人材を受け入れる場合は、日本側の在留資格手続きだけでなく、ミャンマー側の送出手続きも必要になります。認定送出機関の利用や海外労働者身分証明カードの取得などを求められるため、試験合格から入国までにかかる期間を考慮して採用計画を立てましょう。


なお、送出手続きは変更される可能性があるため、出入国在留管理庁のミャンマーに関する案内などで最新情報を確認してください。


ビルクリーニング特定技能外国人を受け入れる企業の要件


ビルクリーニング分野では、一般的な特定技能所属機関の基準に加えて、事業登録や協議会加入といった分野固有の条件が設けられています。


条件を満たさないまま採用を進めると、在留資格の申請ができなかったり、入社時期が大幅に遅れたりする可能性があります。候補者を探し始める前に、自社の受入体制を確認しておきましょう。


都道府県知事の事業登録を受ける


受入企業は、特定技能外国人を所属させる営業所について、都道府県知事から次のいずれかの登録を受けていなければなりません。


  • 建築物清掃業(1号登録)

  • 建築物環境衛生総合管理業(8号登録)


登録は法人単位ではなく、営業所単位です。本社が登録を受けていても、特定技能外国人が所属する別の営業所が未登録であれば、その営業所では受け入れられません。


登録には、清掃作業監督者の配置、真空掃除機や床みがき機などの設備、従事者研修の実施体制といった人的・物的要件があります。知事登録の申請先は、営業所の所在地を管轄する都道府県や保健所です。


特定技能外国人も清掃作業に従事する者として、原則として年1回以上の従事者研修を受けられる体制を整える必要があります。詳細は厚生労働省の制度概要で確認できます。


ビルクリーニング分野特定技能協議会に加入する


受入企業は、外国人を受け入れる前に「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。以前は初めて受け入れてから4カ月以内の加入が認められていましたが、現在は受け入れ前の加入が必要です。


協議会へ加入した後は、協議会で決定した措置を講じ、厚生労働省や委託先が行う調査・指導にも協力しなければなりません。


加入申請や書類確認には時間がかかる可能性があります。在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の直前になって慌てないよう、知事登録と併せて早めに手続きを進めましょう。


直接雇用する


ビルクリーニング分野の特定技能外国人は、受入企業がフルタイムで直接雇用しなければなりません。人材派遣会社から清掃現場へ派遣する雇用形態は認められていません。


清掃現場が自社の営業所ではなく、取引先のオフィスやホテルであること自体は問題ありません。ただし、雇用主は知事登録を受けた営業所を持つ受入企業であり、清掃作業監督者が離れた現場を含めて適切に監督できる体制が必要です。


採用前に確認したい勤務条件


特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等以上に設定しなければなりません。外国人であることを理由に基本給や手当を低くすることは認められません。


ビルクリーニングでは、早朝や深夜の勤務、複数現場への移動、土日勤務が発生することがあります。求人票や面接では、次の条件を具体的に伝えましょう。


  • 基本給、手当、想定される手取り額

  • 就業時間、休憩時間、休日

  • 早朝・深夜勤務やシフト変更の可能性

  • 清掃する施設や具体的な作業内容

  • 現場間の移動方法と交通費

  • 寮・社宅の所在地、費用、設備

  • 給与から控除される税金や社会保険料


条件を曖昧にしたまま採用すると、「想像していた仕事と違う」という理由で早期離職につながりかねません。本人が理解できる言語で労働条件を説明し、質問する時間を設けることが大切です。


特定技能ミャンマー人の定着を促すポイント


特定技能外国人を採用できても、現場で安心して働ける環境がなければ定着にはつながりません。特に来日直後は、仕事だけでなく住居、行政手続、交通、買い物などにも慣れる必要があります。


ミャンマー人という理由で性格や価値観を一括りにせず、本人の日本語力、清掃経験、生活背景を確認したうえで支援内容を調整しましょう。


安全教育を視覚化する


清掃現場では、洗剤の取り扱い、濡れた床での転倒、清掃機器への巻き込みなどの事故が起こる可能性があります。口頭で説明するだけでは、細かい注意事項が十分に伝わらないこともあります。


写真、動画、イラスト、ピクトグラムを使い、作業手順や禁止事項を視覚的に示しましょう。洗剤の容器と希釈率を同じ色で表示する、危険な組み合わせを写真で掲示するなど、現場ですぐ判断できる工夫も有効です。


教育後は「分かりましたか」と尋ねるだけでなく、本人に作業を実演してもらいます。理解できていない部分をその場で確認できるため、事故と作業ミスの防止につながります。


現場で使う日本語を継続的に教える


JLPTのN4やJFT-Basicに合格していても、清掃現場の専門用語をすべて理解できるとは限りません。


「希釈する」「立入禁止」「水分を拭き取る」「モップを交換する」など、実際の作業で使う言葉を優先して教えましょう。「洗剤をこぼしました」「機械から異音がします」といった報告に必要な表現も重要です。


毎日の朝礼で用語を一つずつ確認する、作業写真と日本語を組み合わせた単語集を作るなど、短時間でも継続できる方法が適しています。日本語教育を試験対策で終わらせず、現場での技能向上と結び付けることがポイントです。


相談しやすい担当者を決める


現場ごとに指示を出す人が異なると、外国人本人は誰に相談すればよいのか分からなくなります。仕事や生活について相談できる担当者を明確にし、連絡方法も伝えておきましょう。


定期面談では、作業上の悩みだけでなく、人間関係、住居、健康、家族への送金なども確認します。本人が上司には伝えにくい問題もあるため、必要に応じて登録支援機関や通訳を交えた相談機会を用意することも有効です。


相談を待つだけでなく、入社1週間後、1カ月後、3カ月後などの節目に企業側から声をかける仕組みを作ると、小さな不満や誤解を早期に解消できます。


特定技能2号を見据えた育成も重要


ビルクリーニング分野は特定技能2号の対象です。特定技能2号へ移行すれば、在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たすことで配偶者や子どもを日本へ呼ぶことも可能になります。長期就労を希望する外国人にとって、大きな目標になり得ます。


移行するには、ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験またはビルクリーニング技能検定1級への合格に加え、複数の作業員を指導しながら現場を管理した実務経験が2年以上必要です。業務管理、人材管理、安全衛生管理などの経験も求められます。


なお、2027年4月からは、ビルクリーニング分野の特定技能2号について、日本語教育の参照枠B1相当以上の日本語能力を確認する基準が施行される予定です。今後の移行を見据える場合は、技能だけでなく日本語学習も継続して支援する必要があります。


受入企業は、特定技能1号の段階から次のような経験を積ませるとよいでしょう。


  • 新人や後輩への作業指導

  • 作業計画や人員配置の作成

  • 清掃品質の点検

  • 資機材や在庫の管理

  • 安全衛生に関する指導

  • 顧客や他部署との連絡・調整


実務経験を後から証明できるよう、担当現場、業務内容、従事期間を記録しておくことも重要です。現在は、外国人本人から求められた場合、受入企業が実務経験を証明する書面を交付・提供することが分野別の基準に加えられています。


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まとめ:ビルクリーニングの特定技能は受入要件の確認と定着支援が成功の鍵


ビルクリーニングの特定技能では、オフィス、商業施設、ホテル、病院などの建築物内部の清掃を外国人に任せられます。ただし、住宅のハウスクリーニングや設備管理、警備などは対象外です。


受入企業には、建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の知事登録、協議会への事前加入、フルタイムでの直接雇用などが求められます。


ミャンマー人材を採用する場合は、試験や送出手続を確認するだけでなく、視覚的な安全教育、現場日本語の学習、相談体制の整備まで計画しておくことが大切です。特定技能2号への移行も見据えて育成することで、将来の現場責任者として長く活躍してもらえる可能性が高まるでしょう。


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